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[すみれのお茶の物語]
まだ少し肌寒い3月の朝
ここは森ほとりのお茶屋です。
木造りの大きな平屋の家で
ドア横の看板には「squirrel tea house」(りすのお茶屋)と書かれています。
ドアが開くとメガネをかけたりすがじょうろを片手に出てきました。
見るからに真面目で温厚そうな顔をした彼は 周囲からそのまま「メガネりすくんと呼ばれています。」
庭の花壇には彼が育てたミント レモンバーム カモミールなどお茶の為のハーブが繁ります。
まだ固いつぼみのチューリップやスイセン マーガレットは切り花にしてお店に飾る為に育てています。
花壇の向こう側にもお茶用のスイートバイオレット(匂いすみれ)が一面に咲いています。
小さな淡い紫の控えめ咲く花はどことなく彼に似ている気がします。
植物の成長を注意深く見ながら水やりをして、一通り終わった後. 家から10メートル先にあるニワトコの木の方に歩いて行きます。
ニワトコの木の高さは3メートルほど。
黄緑色の葉を繁らせた木を見つめながら彼は「お父さん」とつぶやきました。
この木は お医者さんだったお父さんがメガネりすくんが小さい頃に植えたものでした。
「今日も頑張るねお父さん」
そう言い残して彼は店の中に入って行きました。